出走直前オスカー・ダービー大予想

 
本紙編集委員・Fによる傾向と対策
夫馬 信一
 

 

 まず、ご報告させていただきます。当サイトの「オスカー・ダービー」ですが、今回をもって終了とさせていただくことに致します。これをまず、最初にお話ししなくてはなりません。
 何とこの企画、2001年の第73回アカデミー賞からやっているんですよね。ちなみに、その時の作品賞受賞作は「グラディエーター」でした。懐かしい、懐かし過ぎる。候補作には「グリーン・デスティニー」やら「トラフィック」といった豪華な作品がズラリ。何だか今見ても充実してますねぇ。
 それから19回を数える今回で終了。あと1回やれば20回…とは思ったのですが、やはりそろそろ潮時でしょう。ここで終わるのが有終の美という気がしています。
 やめようと思っていたのは今回初めてではなくて、2010年の第82回の時にすでにそう思っていたんですね。何しろ、いきなり作品賞候補作を10本に増 やすという暴挙。ところが候補作は10本…としたのには必然性があった訳ではない。結局、今回だって8本…とノミネート本数のワクそのものすら定まらな い。この腰が退けてる感じは何なんだ。
 ともかく、何だかんだとオスカー・ダービーもここまで19回もやって来ちゃいましたが、ここらでお開きにしたいということです。皆様、長い間ご愛顧ありがとうございました。

 という訳で、今回は僕もホンネでズバズバ選ばせていただきます。
 まずは、助演女優賞から。全員女性ですから忖度のしようがない。や はり多様性とか外国人とか非白人とかという話になるんでしょうか。そうなると、スター級のエイミー・アダムス、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズが軒並 み落ちる。メキシコのマリナ・デ・タヴィラは昨今のトランプ大統領の「壁」問題もあるし、持ち上げどころとしては十分です。
 ただし、彼女がノミネートされている対象作品「ROMA/ローマ」がネットフリックスのオリジナル映画であることが、ここでどう出るのか。映画の新しい 時代を築いて業界に活況をもたらす…とハリウッドから好意的に見られるのか、それとも劇場やら興行主から敵視されることを気にして低評価となるか。こうし て最多ノミネートされていることからして、前者がハリウッドの見解なのかもしれませんが、ちょっとこの動向は気になります。
 故に、マリナ・デ・タヴィラが本命。対抗は黒人のレジーナ・キング。穴は…というと、残った連中ではエマ・ストーンがすでに受賞していることからまず除外。さらに「女王陛下のお気に入り」から2人出てるので票が分散すると考えると、エイミー・アダムスでしょう。
 次に助演男優賞。この中では、黒人のマハーシャラ・アリ…と言いたいところですが、彼はすでに昨年受賞しているのでした。すると、スパイク・リー作品から何か出さなきゃうるさそうだ(笑)…とアダム・ドライバーか。 ここは、意識の高さをアピールするためにも、ドライバーを本命としておきましょう。対抗はサム・ロックウェル。予告編で見たのですが、彼にブッシュ大統領 をやらせるというのはナイス・アイディアですね。これは純粋にいいのではないか…という評価です。穴は作品評価が意外にも高い「アリー/スター誕生」から ということでサム・エリオット。
 さて、主演女優賞にいきましょう。どれもこれも、帯に短し襷に長し。ここは「一発」のインパクトの高さで、本命レディー・ガガで いってみましょうか。歌も作っちゃったというあたり、ポイントが高そうです。対抗は、「天才作家の妻 40年目の真実」のグレン・クローズ。考えてみる と、とっくに取っていると思っていたこの人が、まだもらっていないんですよね。ウッカリしていました。穴は、話題作「ROMA/ローマ」のヤリッツァ・ア パリシオで。
 いよいよの主演男優賞です。こちらはいずれ劣らぬ曲者揃いですが、正直言ってフレディ・マーキュリーを見事に演じきってラミ・マレックが 一馬身リードという感じじゃないでしょうか。単に似ているとか芝居がいいという以上に、パフォーマンスも似せて来てますから。実在人物を演じた役者は受賞 確率が高そうなので、これは堅いと思います。そして、実在人物となるともうひとり…チェイニー副大統領を演じたクリスチャン・ベールもいる。ベールを対抗 でいきましょう。どうして本命・対抗に分かれたかと言えば、単にフレディはみんなに好かれているが、チェイニーは思い切り嫌われているということで (笑)。穴はブラッドリー・クーパーとヴィゴ・モーテンセンで悩みましたが、クーパーは監督もしたということで加点があると予想して、ここはクーパーで。
 さてさて、監督賞です。これが悩みどころ。何しろ外国人が多い。さ らに、はずすと絶対に陰謀論を唱えそうなスパイク・リーまでいる(笑)。ただ、アルフォンソ・キュアロンはすでに受賞歴があるので除外。パヴェウ・パヴリ コフスキは対象作が外国語映画賞候補だから、これもちょっと違う。意外にこういうメンツとなると、純国産ということで「バイス」のアダム・マッケイが本命かも。対抗は、ノミネート数が多い「女王陛下のお気に入り」へのご褒美(おそらくノミネートされても落ちるケースが多いのでは…と予想されるので)ということでヨルゴス・ランティモス。穴はスパイク・リー。何しろうるさいですから(笑)。
 さぁ、いよいよ大詰めの作品賞。どれも一長一短です。「ブラックパ ンサー」は黒人観客層の支持が高いので入ったと思いますが、監督賞にノミネートされていないですし、正直言ってアメコミ映画のあの内容で作品賞はキツいと 思います。「グリーンブック」は黒人と白人の融和を描いて「ドライビング Miss デイジー」を思わせる「いかにも」アカデミー賞向けな作品ですが、これも監督賞にノミネートされていないのがハンデ。「ボヘミアン・ラプソディ」と「ア リー/スター誕生」も同様です。では、残りで争うのか。「ブラック・クランズマン」はまたしても問題作でしょうから、ハリウッドの業界賞としてはいかがな ものか。「女王陛下のお気に入り」は、監督が外国人のクセ者だから難しい。簡単に言うと、ラース・フォン・トリヤーがオスカーを取るか…という話です。も ちろんベルナルド・ベルトルッチだって取ったことはありますが、あれは「ラストエンペラー」という例外中の例外ですから。「ROMA/ローマ」は…といえ ば、100パーセント外国の話だし、モノクロの地味な映画で問題のネットフリックス映画という要素もある。例えばフランス映画でモノクロ・サイレントの 「アーティスト」が受賞したじゃないか…という話もあるにはありますが、それは同作品がサイレント期のハリウッドを舞台にした作品だから。ちょっと今回と は事情が異なります。さらにこちらには、外国語映画賞でノミネートされているという特殊事情もある。これって実は「グリーン・デスティニー」と同じ、極め て稀なケースですよね。そんなこともあり、ちょっと「ROMA/ローマ」じゃ難しいんじゃないでしょうか。そうやっていくと、消去法で「バイス」というこ とになっちゃいます。故に本命は「バイス」。ちょっと「スポットライト/世紀のスクープ」が作品賞を取った時に似ているかもしれません。対抗としては、オーソドックスなアカデミー賞らしい作品として「グリーンブック」。穴は、大量ノミネートに配慮して「女王陛下のお気に入り」というところでどうでしょう?

 いかがでしたか? いろいろな問題の他にネット配信まで出て来ちゃって、ますます予想が難しくなってきました。果たしてその結果やいかに?


 


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